第1回 熊本大学 eポートフォリオ国際セミナー(2011年3月10日)
米国の教育機関では、学習eポートフォリオを活用した、学生自身による理解度のチェックや振り返り学習が一般的に行われており、加えて、eポートフォリオを活用し教員自身また、教員相互による授業改善(FD)についての取り組みも積極的に行われている。
日本国内に目を移すと、学習カルテ、教育カルテ、就活システム、学習ポートフォリオなどの様々な呼び名で eポートフォリオの導入が、主に、高等教育機関を中心に徐々に進んできているが、まだまだ始まったばかりであり、それぞれの組織での運用、利用における試行錯誤が続いており、成果を上げるまでには至っていないのが実情である。その大きな理由として、国内各機関において、eポートフォリオを活用した教育の実践者が、まだ非常に少数であること、eポートフォリオ利用の意義やメリットが、学生、教員の双方で十分に理解されていないこと、それぞれの組織のもつノウハウ、事例の共有がまだ進んでいないことなどが上げられる。
熊本大学では、eラーニング、ICTを活用した教育実践・教育改善を全学的に推進し、着実な成果を上げてきているとともに、eポートフォリオシステムの構築・導入に関しても、社会文化科学研究科教授システム学専攻において先行的に開発を進める一方で、全学的に利用可能なシステムの整備も急ピッチで進め、2011年度より、試験的な全学運用を開始する予定である。
そこで、本セミナーでは、米国内の多くの大学で利用されているオープンソース・ポートフォリオ(OSP)の機能や、高等教育機関におけるOSPの先進活用事例を学ぶと共に、国内におけるeポートフォリオを導入・利用し、学習と教育の改善の促進を図るために、ミニカンファレンスと少人数に分かれたワークショップを通じて、参加者各位と情報共有と情報交換の場を提供したく考えております。多数の皆様のご参加いただき、皆様と活発な意見交換ができることを楽しみにいたしております。
(注)本セミナーでの使用言語は日本語及び英語です。
日時:
セミナー: 2011年3月10日(木)13:30~17:30
ワークショップ: 2011年3月11日(金)10:00~16:00
会場:
セミナー: 熊本大学 くすの木会館レセプションルーム (地図No.8)
ワークショップ: 熊本大学 総合情報基盤センター 3F PC実習室I (地図No.2)
講師:
Janice A. Smith (Ph.D.) 氏
Three Canoes Consulting,
Consultant for the assessment of learning
http://threecanoes.com/
Lynn E. Ward 氏
IUPUI:Indiana University-Purdue University Indianapolis,
Principal Systems Analyst, Academic and Faculty Services University Information Technology Services
http://uits.iu.edu/
プログラム:
セミナー
13:30 | 開会の挨拶 | |
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13:35 | 招待講演1:Janice Smith 氏 ポートフォリオを活用した学習の深化 -オープンソースポートフォリオシステムの導入- 資料(PDF2.3MB) |
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14:25 | 招待講演2:Lynn Ward 氏 学習と教授におけるeポートフォリオの活用 -インディアナ大学-パデュー大学インディアナポリス校における実践- 資料(PDF3.0MB) |
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15:10 | 質疑応答 | |
15:30 | Coffee Break | |
15:40 | 一般講演 | |
15:40 | 得永義則 氏 (関西大学 ITセンター) 関西大学におけるeポートフォリオの現状 資料(PDF1.9MB) 講演概要 関西大学の学部・大学院ならびにK-12(小学校~高校)で取り組んでいるeポートフォリオの現状と、小学校から大学院までのエンロールメントマネジメント実現に向けた取組をCIO補佐の立場から報告します。 |
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16:05 | 古澤修一 氏 (広島大学 大学院生物圏科学研究科) 大学院におけるWebを用いたラーニングポートフォリオ ―その開発と問題点― 資料(PDF2.0MB) 講演概要 当研究科では、「教育記録システムによるステップアッププログラム」を実施し、教育の記録・閲覧をリアルタイムにWeb上で行える環境を構築している。学生と主・副指導教員がWeb上で講義の選択状況、研究の進捗状況、論文の準備状況などを常に記録・確認することができるので、多様なバックグラウンド・多様な目的を持った学生が設定した到達目標を確認・および省察しやすい環境となっている。 |
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16:30 | 寺脇由紀 氏 (法政大学) 建築学科における学習成果物と学習指導履歴のeポートフォリオ化 資料(PDF1.0MB)※一部スライドを割愛して公開しています。 講演概要 現在,日本の建築教育は国際化が立ち後れており,日本の教育カリキュラムでは海外で建築家資格を得ることができません.この問題に対応するために,学部および大学院修士過程を含む6年間を建築教育機関とすることで国際化をすすめようとしています. 建築学科におけるJABEEの認定は,このフレームワーク上にあります. 法政大学建築学科では,2009年度より,JABEE受審に備えすべての学習成果物と学習指導履歴のeポートフォリオ化をすべく,様々な試みや改善を行ってきました. この試みは,JABEE受審Lynn E. Ward 氏, のためだけでなく,建築学科全体の教育環境の構築に寄与するものとして認識されるにいたりました. そこで,2010年度には,前年度の実践を具現化するために2つのシステム(1.履修支援モデル,2.バーコードとデジタルカメラを活用した学習成果物および学習指導履歴の統合保存環境)を構築しました. 本講演では,この2つのシステムに関して概要をご紹介したいと思います. |
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16:55 | 宮崎誠 (熊本大学 大学機能総合開発研究センター) 熊本大学eポートフォリオシステムの構築 資料(PDF1.9MB) 講演概要 著者名(発表者に○): ○宮崎 誠、宇佐川 毅、中野 裕司、喜多 敏博、本間 里見、大森 不二雄 熊本大学では、「学習成果に基づく学士課程教育の体系的構築」(学士課程GP H21採択)の一環として、オープンソースポートフォリオ(OSP)をカスタマイズしたeポートフォリオシステムの構築を進めている。 本システム構築では、学生の学習や就職活動、教員による学生の指導の際に利活用できるシステムの構築を目指して進めており、本学の学務情報システム、学習支援システム、それぞれと連携した利用が可能である。 さらに、中期計画の一環として進めている「熊本大学ID」計画とも連携し、将来的には、生涯にわたり学習をサポートできるシステムの構築・提供を目指している。 |
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17:30 | 閉会 | |
19:00 | 情報交換会(※) 場所等については、追ってご連絡いたします。 |
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21:00 | 交換会終了 |
招待講演では、両講師の先生方に、eポートフォリオを利用した学習の基本から、IUPUIでの実践的な活用(学習、教授、評価)までをお話しいただく予定です。
ワークショップ
10:00 | ワークショップ1 (OSPの概要と利用事例) |
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12:00 | 昼食 |
13:00 | ワークショップ2 (OSPの利用演習 - MatrixとPageComposer) |
16:00 | 終了 |
ワークショップでは、オープンソースのポートフォリオシステムとして、海外の200以上の大学、高等教育機関において導入され実践運用されている eポートフォリオシステム(OpenSourcePortfolio)の持つ機能解説から、カスタマイズなどのシステム面および、導入事例を通してどのように教育に活用されているか、自組織で導入する場合の問題点などを議論していきます。
講演タイトルや、ワークショップ内容の詳細については、本Webサイトを通じて、適宜、公開して参ります。なお、特別講師の講演等は英語で行われますが、提示/配付資料は日本語訳したものを準備するつもりでおります。
講演動画:
講演(学内専用)
一般講演の募集 (3/5で〆切ました。お申し込みありがとうございました。)
一般講演として、皆様の組織において導入されているシステムのご紹介や、活用事例のご紹介などをいただければと考えております。各組織で導入されているシステム、その利用目的等の情報共有は、導入を検討している参加者にとって有用なだけでなく、より良い運用を検討し、自組織の教育改善につなげて行きたいと考えている参加者にとっても、必ず有用なものになると考えます。本セミナーを活用して、皆様と(e)ポートフォリオ学習/教育に関するナレッジの共有を図りたいと考えます。
ご参加ありがとうございました。
本国際セミナーは、国立大学法人熊本大学平成22年度熊本大学国際研究集会等支援経費の補助を受けて実施しております。